ライフルスコープのカタログ・スペックの読み方

ライフルスコープのカタログ・スペックの読み方です。
関連する質問が多いので、Sig Sauer Tango4 4-16×44 FFP ライフルスコープ を例に解説します。
カタログ・スペックを順に説明します。

■Model「4-16x44」
4倍~16倍 のズーム機能を有し、対物レンズの直径が 44mm という意味です。
一般的に対物レンズ径が大きいと明るい画像が得られます。
倍率は遠距離用、中距離用などの目安になります。

■Focal Plane「1st」
FFP、ズームとともにレティクルの大きさが変わるので、倍率を変えても目盛りの示す値が変わりません。
「First Focal Plane」「First」と表記される場合もあります。
ズームしてもレティクルの大きさが一定の物は「2nd」「Second」と表記されます。

■Reticle「MRAD Milling」
レティクルの名称です。
メーカー毎にレティクルの名称は違うので、スペックとしては意味がありません。
ただし、Reticleの種類によって、以降のスペックが変わってきます。
「MRAD Milling」として解説を続けます。

■ADJ.(Adjustment)「.1MRAD」
エレベーションノブ、ウィンテージノブを廻した時の1クリックで照準が動く量です。
0.1MRADは 100mで 0.1ミル(10mm) という意味です。
ノブがカチッと1回 鳴るたびに 10mm 動きます。
1ミルとは 1000m で 1m を指し、戦車砲などでも使用される単位です。
1000m で 1m なので 100m では 10cm となります。
この 100m で 10cm の事を 1MRAD と呼びます。

■Exit Pupil 「MM」「22.9~5.1」
日本語では ”ひとみ径” と訳されます。
眼がレンズの中心からズレても映像が綺麗に見える範囲を意味します。
うまくレンズを覗いていないと端が黒くなる “ケラレ” という現象が出ますが、Exit Pupil の値が大きいとケラレ現象が出にくくなります。
ただ、値が大きければ良い、という事ではありません。
「LOW 22.9mm」とは最低倍率(4倍)の値、「HIGH 5.1mm」は最高倍率(16倍)の値です。

■Linear Field of View「M @ 100M」「8.0~2.1」
カタログ・スペックで “最も重要な値” です。
日本語では”視野”と訳されます。
「Field of View」「FOV」と表記される場合があります。
「M@100M」は 100m での見える範囲です。
「LOW 8.0m」は 最低倍率(4倍)の時、直径 8m の範囲が見えます。
「HIGH 2.1m」は最高倍率(16倍)の時、直径 2.1m の範囲が見えます。
詳細は
Field of View (FOV) 単位はフィートと角度
を参照してください。

■Eye Relief「MM」「84mm」
接眼レンズから眼までの距離です。
Sig Sauer Tango4 4-16×44では「LOW」「HIGH」ともに「84mm」で一定です。
これはスコープを固定する位置決めが 容易である事を意味します。
Eye Relief(アイリリーフ) は倍率により変わる製品も多いです。
その場合、倍率によって頬付けの位置が微妙に変える必要があり、一定の値である方が使いやすいです。

■Objective Filter Thread「M46×0.75」
フードやキルフラッシュを装着する際のネジ仕様です。
「M46」は 直径 46mm、「0.75」は ネジピッチ を表します。
仕様の値であり、スコープの性能とは直接の関係はありません。

■Objective Clear Aperture「44mm」
対物レンズ径です。

■Weight「GRAM」「709」
スコープの重量です。
ハンティングスコープは軽く、タクティカルスコープは重い傾向があります。
ハンターさんはずっと持つ物なので”より軽く”を重視するユーザーは少なくありません。

■Windage Adjustment Range「22 MRAD」
Windage(左右)の照準調整範囲を表します。
「±11MRAD」と表記される場合があります。
100m で 左右110cmずつの調整が可能です。

■Elevation Adjustment Range「22 MRAD」
Elevation(上下)の照準調整範囲を表します。
以下、上記と同様です。

■Max Rotations「4.5 MRAD」
エレベーションノブ、ウィンテージノブを1回転させた時の調整範囲です。
1回転させると 100mで 45cm照準が動きます。

■Illumination Settings「8 daytime/2 NV」
レティクルが発光する段階を表します。
「8 daytime/2 NV」とは輝度調整が10段階で、その内、輝度1、輝度2はNV(NightVision 暗視装置)対応という意味です。
「10levels」などと表記される場合があります。

■Length MM「346.4」
スコープの全長です。

これら以外にもカタログ・スペックがあるので記載しておきます。

■DIOPTER ADJUSTMENT RANGE 「+/- 2.5」
ディオプター、視力調整ダイアルの調整範囲です。
接眼レンズの縁を廻して 映像やレティクル の見え方が微調整できますが、その範囲を示します。

■WATERPROOFING 「IPX 7」
耐雨・防水性能を表します。
「Yes」と書かれている場合は ”耐雨性能あり” と考えて良いです。
「IPX7」とは防塵防水機能を表す値です。
防塵・防水の順で等級が記載され、「X」は防塵機能がない事を示します。
「7」は防水等級を示し 「一時的(30分)に一定水深(1m)の条件に水没しても内部に浸水しない」 という意味になります。
「IPX7」なら大雨でも安心です。

■OCULAR OUTER DIAMETER (IN) 「1.71」
接眼レンズ側の外径です。
「1.71インチ=43.4mm」となります。
後述しますが、スコープの外径は重要な情報です。

■OBJECTIVE OUTER DIAMETER (IN) 「2.01」
対物レンズ側の外径です。
「2.01インチ=51.1mm」となります。
これが Sig Sauer Tango4 4-16×44 の最大外径となり、最大外径は マウントリングの高さを決める重要な値です。
詳しくは
・適切なマウントリングの高さを求める その1
・適切なマウントリングの高さを求める その2
を参照してください。
ショートスコープの場合は 接眼レンズ側の外径(OCULAR OUTER DIAMETER)が最大外径になります。

■INTERNAL GAS PURGE 「Nitrogen」
スコープのチューブ内に 「Nitrogen」 が充填されている事を示し、気温の変化によってレンズ内が曇りません。
「曇り防止性能」と表記される場合があります。

■BATTERY 「(1) CR2032」
レティクルを発光させる電池の種類です。
「CR2032」ボタン電池 1個を使用する意味になります。

名前がない カタログ・スペック もあります。
上図は VORTEX Strike Eagle 1-8×24 ライフルスコープ の例で、「L2」と「L3」は知っておきたい値です。

■L2、L3
マウントリングの装着できる範囲を示しています。
銃側のレイルに充分な長さがある場合は気にする必要はないです。
が、ハンティングライフルのようにレイルの長さに制限がある場合、L2、L3の値が小さいと銃にマウントできない場合があり得ます。

文字ばかりになってしまいましたが、カタログ・スペックの説明は以上です。
良いハンティングをお祈りします。